上司の当たりが強くて……
仕事が辛いです。
パワハラを受けることは、心身への影響が大きいものです。
今回は、パワハラの定義と対処法について解説します。
介護職は、利用者さんや家族、同僚など、多くの人と関わる仕事です。しかし、中にはパワハラ上司によって心身に大きな負担がかかってしまうケースもあります。
この記事では、そもそも”パワハラとは何か”というところから介護職のパワハラ上司との関わり方について、分かりやすく解説します。
これってパワハラ?どんなことがパワハラに該当するのか
まず、パワハラとはどのような行為なのかを理解することが重要です。一般的には、以下のような行為がパワハラに該当します。
1.無理な仕事やサービス残業を要求する
介護現場は慢性的な人手不足に悩まされており、多くの職員が業務過多に陥っています。人手不足によって、本来2人で行うべき業務を1人で行わなければならない状況が発生したり、休憩時間や休暇が取れなかったりするなど、職員の負担が著しく増大しています。
多くの業務を抱えていることで、勤務時間内に処理しきれない場合があります。長時間労働は、職員の疲労蓄積や体調不良の原因となり、利用者への適切な介護サービスの提供に支障をきたす可能性があります。
2.暴言や圧力
ミスに対して必要以上に叱責したり、恐怖心を与えるほどの罵倒は精神的なパワハラに当たります。
「もっと丁寧に介助しろ!」「ちゃんと仕事しろ!」など言葉遣いが強い人や「お前は介護に向いてない!」「こんなこともできないのか!」と人格を否定するような発言をする人は、どんどん言動がエスカレートする可能性があるため、とても危険です。
3.無視や仲間はずれにする
介護業界はチームワークが非常に重要となる職場ですが、特定の人間を無視したり、孤立させるような環境を作り出して退職へ追いやることも現実的に起きています。
具体例としては、以下の内容が挙げられます。
- 挨拶や返事をしない
- 相談を持ちかけても、話を聞いてくれない
- 悪口や陰口を言われる
- 職場でのイベントや飲み会に誘われない
上記以外にも、パワハラに該当する行為は様々です。パワハラの定義が気になる方は、厚生労働省の「明るい職場応援団 ハラスメントの定義」をご参照ください。
パワハラの影響と簡単チェックリスト
パワハラは、被害者に対して様々な深刻な影響を及ぼします。以下、主な影響について詳しく説明します。
パワハラが与える具体的な影響
1. 心理的な影響
- ストレス、不安、抑うつ状態:パワハラの被害者は、常におびえや恐怖を感じ、強いストレス状態に置かれます。その結果、不安やうつ病などの精神疾患を発症したり、悪化したりする可能性があります。
- 自尊心の低下:人格を否定されたり、侮辱されたりすることで、自尊心が低下し、自信を失ってしまうことがあります。
- 集中力の低下:常に不安や恐怖を感じているため、仕事に集中することができなくなり、ミスが増えたり、仕事のパフォーマンスが低下したりする可能性があります。
- 職場への恐怖:パワハラを行っている上司や同僚がいる職場に行くことが怖くなり、欠勤や離職につながる可能性があります。
2. 身体的な影響
- 頭痛、腹痛、めまい:ストレスによる心身の不調から、頭痛、腹痛、めまいなどの症状が現れることがあります。
- 睡眠障害:不安や恐怖で眠れなくなる、夜中に何度も目が覚めるなどの睡眠障害を引き起こす可能性があります。
- 食欲不振、体重減少:ストレスによって食欲不振になり、体重が減少することがあります。
- 免疫力低下:慢性的なストレスは、免疫力低下を招き、風邪や感染症にかかりやすくなる可能性があります。
3. 仕事への影響
- 仕事への意欲低下:パワハラによって、仕事への意欲が低下し、パフォーマンスが低下することがあります。
- ミス増加:集中力が低下することで、ミスが増えやすくなります。
- 欠勤・離職:症状がひどい場合は、欠勤や離職を余儀なくされることもあります。
- キャリアへの影響:長期化するパワハラは、キャリア形成にも悪影響を及ぼす可能性があります。
4. 周囲への影響
- 職場の雰囲気悪化:パワハラが放置されると、職場の雰囲気が悪くなり、他の従業員の士気も低下します。
- 生産性の低下:職場の雰囲気が悪くなることで、従業員のモチベーションが低下し、生産性が低下する可能性があります。
- 企業イメージの悪化:パワハラの事実が明るみに出た場合、イメージが大きく悪化し、業績への悪影響や倒産にまで追い込まれる可能性があります。
パワハラチェックリスト
以下の項目をチェックして、自分がパワハラを受けている可能性があるかどうかを確認してください。
1. 身体的攻撃
叱りながらものさしや書類で頭を小突かれたことがある。
ものを投げつけられたり、ごみ箱を蹴りつけられたことがある。
部下のミスに対し、人前で強い口調で叱責されたことがある。
「バカ」「愚図」「のろま」など屈辱的な言葉で叱責されたことがある。
2. 精神的攻撃
人前で人格を否定するようなことを言われたことがある。
常に監視しているような目で見る。 常に監視しているような目で見る。
無理な仕事を押し付け、失敗すると人格を否定されたことがある。
些細なミスを執拗に責められたことがある。
常に無視されたことがある。
3. 人間関係からの切り離し
他の社員との接触や協力依頼を禁じられたことがある。
複数人でいると、その場から立ち去らされたことがある。
仲間外れにするようなことを指示されたことがある。
4. 過大な要求
能力に対して達成不可能な業務や不要な業務を強制されたことがある。
長時間労働や休日出勤を強要されたことがある。
私的な用事を無理やり頼まれたことがある。
5. その他
セクハラやマタハラを受けたことがある。
業務上必要のない暴言を吐かれたことがある。
宗教や政治の話題を持ち出し、相手に不快感を与える。
※このチェックリストはあくまで参考であり、すべてのパワハラ事例を網羅しているわけではありません。
パワハラかどうか判断が難しい場合は、労働基準監督署や弁護士などに相談することをおすすめします。
パワハラの対処法
パワハラを受けている場合は、一人で抱え込まず、適切な対処をすることが重要です。具体的には、以下のような方法があります。
1.証拠を集める
パワハラを受けている場合は、証拠を集めることが重要です。具体的には、以下のようなものを記録しておきましょう。
- パワハラ行為の日時、場所、内容
- 上司の発言
- 目撃者の証言
- 録音・録画
- メールやチャットの履歴
2.周囲に相談する
一人で抱え込まず、周囲に相談することが大切です。
同僚や施設内の相談窓口に相談したり、周囲へ話しがしづらい場合は労働基準監督署及び総合労働相談コーナーや相談機関「みんなの人権100番」「法テラス」に相談するのも手段です。
3.自分の心身をケアする
パワハラは、被害者の心身に大きな負担をかけるため、しっかりとケアすることが重要です。周囲に助けを求めつつ、自分自身の体調やメンタルを整えましょう。
- 十分な睡眠を取る
- バランスのとれた食事を摂る
- 適度な運動をする
- 趣味や好きなことをする
- カウンセリングを受ける
まとめ
パワハラは、決して許される行為ではありません。被害者は一人でいる必要はありません。勇気を出して声を上げ、周囲の助けを借りてください。
介護職員一人ひとりが、パワハラは許されないものだという意識を持つことが大切です。
一人で抱え込まず、周囲に助けを求め、適切な対処をしましょう。